2000富士登山記(富士宮口)

五合目(昼)

五合目出発(夜)

新六合目

元祖七合目

八合目

御殿場口山頂

朝焼け1

朝焼け2

ご来光間近

もやったご来光

雲 海

火口とレーダードーム

山中湖

御殿場口を下山

宝永山火口

 

 2000富士登山記(富士宮口)8/1〜8/2

今回の富士登山の予定ルートは、富士宮口新五合目から登り八合目の山室”池田館”より迂回路にて御殿場口登山道へ。
山室”赤岩八号”で一泊。深夜出発し山頂へ。山梨側へ回りご来光を拝む。お鉢巡りで富士山剣ヶ峰へ。
下山は登山と逆ルートで富士宮口新五合目に至る。 という計画でした。が・・…

メンバー
私 純
洋平(会社の後輩)
祥(親戚の小学6年)

8/1(月)

富士宮口新五合目到着
午後2時半頃富士宮口新五合目に到着。途中の富士山スカイラインの渋滞もなく、駐車場も登山道入り口脇に難なく駐車できた。
やっぱり富士登山は平日に限る。今富士登山は人気があり、週末や土日は大混雑し、富士山スカイラインは大渋滞。
駐車場の手前からは動かなくなる。もちろん駐車場へはよほどついていない限り駐車は不可能。
登山道も混雑している。
富士登山は可能なら平日がいいです。(他の登山ルートも同)

登山準備をかねゆっくりしていると、3時頃ポツポツと雨が降り出す。雨足は次第に強くなり本降りに。
「仕方ない。すこし出発を遅らせるか。」出だしから雨の登山はいやだったので、車の中で待機することに。
雨は止むどころか土砂降りに。夕立程度のものですぐに止むだろうと思っていたが、いっこうに止む気配なし。
雨の中下山してくる人が何人かいた。皆ずぶぬれである。

「5時に出発できれば、8時には”赤岩八号”に着けるから…」。雨は断続的に降り続き6時を回った。
決断の時が迫っていた。「しょうがない。夜まで待って夜間慣行で山頂を目指すか。」
五合目のレストハウスで夕食を済ませる。外は相変わらず雨が降っている。
今回私以外の二人は富士山が初めてなので、何としてでも登山したい。でも自然の力だけはどうしようもない。

8時半頃いったん雨が上がり。星空となった。「よしっ 行くか」と思うもつかの間、再び豪雨。
今回はダメかな。などと考えはじめる。車の中で目をつぶっていた。
9時半頃、「星が出ている。」と祥に言われ、外に出てみると満天の星空。「よしっ これなら大丈夫。」

出発。五合目(2,400m)〜六合目(2,500m)
夜9時40分。いざ出発。延々と7時間も待ったわけである。
五合目の2,400mの看板から登山道は右の方へと延びているのだが、なんと出だしから登山道を踏み間違えてしまった。

富士宮口は過去2回登っているが、夜間の出発は初めてだったため、いきなり登山道をはずしてしまった。
延々と待たされたせいか、前を行くグループに引っ張られたせいか、五合目の看板の後、まっすぐ山に進入。
ここは急斜面で石などもごろごろ。すぐに「これはおかしい。」と気づいたが、もう50m程登っていた。
右横をちらりと見ると、懐中電灯の行軍が…「あちゃー。間違えた。」
後ろと横にも他のグループの姿が。「ルートをまちがえましたね。」同じように間違えたグループがいた。

前を行く洋平に「登山道を間違えた。このまま真横に進んで登山道へ出よう。」
しかしものすごい急斜面で、横に行くのさえ大変。今すぐにでも滑落しそうなほどだ。
生えている草などにつかまりながら、やっとの事で登山道へ出た。目の前は新六合目の”雲海荘”だった。
このルートを間違えたことが後でひびいいてくる。何しろ体力をずいぶんと使ってしまったからだ。

下山してきてわかったんですが、私たちが間違えた斜面はものすごい急斜面。おまけに岩などもごろごろしていた。
落石を起こさなくてよかったとまずはホッとし、あの斜面を登っていたなんて…とびっくりしてしまった。
富士宮のルートは五合目から右方向に登山道が延びている。まっすぐも進めてしまうため、夜間は間違えやすい。
ここはロープなどを張って進入できないようにして貰いたいものだ。現に我々以外にも間違えて登っていたグループもいたのだから。
なにしろ急斜面で危ないし、落石でも引き起こせばそれこそ大事故になってしまう。
是非とも進入できないようロープを張って貰いたい。

六合目(2,500m)〜元祖七合目(3,010m)
六合目でしばし休憩。すでに汗だくとなっていた。おまけに一睡もしていないためもうかなり疲労感が…
六合目を出発。ここからが本格的な登りとなる。足場は固い砂や砂礫で結構歩きやすい。時折岩場なども。
でも登りの場合、このちょっとした岩場の方が足場となって登りやすい。砂礫地だと足を取られ登りずらい。

新七合目の山室に到着。海抜何mの表示がないが、2,800m位ではないだろうか。11時を過ぎたあたり。
祥は結構眠そうだ。私も眠い。そして結構寒い。一枚上に着ることにした。
夜間登山の場合、登っているときは暑かったりするが、休憩などで立ち止まると結構寒い。
休憩時に上にはおり、登山時に脱いで登る。というようなことを繰り返すことがいいみたいだ。

新七合目を出発。黙々と登る。上には元祖七合目の山室の灯が拝める。
火山岩がごろごろとしているよう足場だが登りやすい。
体力の方は結構きつくなってきている。何しろ7時間も待った上、普通夜間慣行登山の場合昼に寝ておくのだが、
今回は一睡もしていないのだ。「今回はきつな。」などと思いながら又登る。

程なく元祖七合目の山室に到着。海抜3,010m。日付が変わり8/2(火)午前0時すぎ。
結構身体がきつい。今まで経験したことのないつらさだ。
「はたして登頂できるか?」そんなことをふと思ったほどだ。
祥も眠そうだ。「山小屋で寝るか?」と聞いても、けなげに「大丈夫!」と。根性ある子だ。

8/2(火)

元祖七合目(3,010m)〜八合目”池田館”(3,250m)
元祖七合目を出発。ペースが次第に落ちてきている。
足元は岩場や溶岩流の固まったようなところが続く。でも足場となり、結構登りやすい。
たまに落差の大きい岩場もあるが気にならない。八合目”池田館”の灯が上に拝める。

八合目間近は結構登りがきつい。そして八合目に到着。3,250m。午前1時半。
ここには夏登山の間、
「富士山診療所」が開設されていて、高山病にかかったときや、怪我をしたとき診てもらえる。
中は灯が落ちていて暗いようだ。(24時間開いているはず)ここまでだれも高山病などのトラブルもなく順調に来た。
(7時間も五合目にいたため身体がなれていたのか、高山病の兆候の頭痛さえ感じない。)

 

八合目(3,250m)〜迂回路〜御殿場口登山道〜赤岩八号館(3,450m)
ここからはいつものように迂回路を通り御殿場口登山道へ回ることにした。
深夜とはいえ登山者も結構いるし、それに富士宮口登山道はここから登りが急になり混み合うのだ。
御殿場口も山頂近くは急坂だが、すいていてマイペースで行けるし、何しろ登山道が整備されていて歩きやすいのだ。
毎年富士登山駅伝に使われるコースのため整備が行き届いているのだろう。

さて、迂回路だが池田館を過ぎ、左に行くと富士宮登山道の登りに行くのだが、そののまままっすぐ進む。
毎回このコースを取るのだが深夜の通過は初めてのことだ。→赤岩8号 や→御殿場口の標識を頼りに進む。
真っ暗で怖い。右手は崖となっているはずで、滑落したら大変だ。「左の山側を歩いて!」と二人に注意をする。
万が一懐中電灯の電池が切れたら大変なので、先頭を行く者以外は明かりを消して進んだ。

程なく御殿場口に合流。ほっと一安心。ちょっと怖かった。上を見上げても赤岩八号の灯は見えない。
懐中電灯で照らすと山室の姿を見ることができた。ここは深夜は山室の人も寝入ってしまう。
御殿場口はやはり歩きやすい。砂礫で多少足は取られるがよく整備されている。登山者は我々以外全く姿がない。

赤岩八号館に到着。ここで3,450m。午前2時半。
祥がかなり眠そうだ。「ここで寝るか?」「でも寝ちゃうとご来光が見れないんでしょう?」
「起こしてやるから。」「じゃあ寝る。」さすがにここまで我慢してきたんだろう。小6にしては見上げた根性だ。

赤岩八号館の中に入る。本来ならここに昨夜の内に到着し、食べ放題のカレーライスをたらふく食べ、
今頃起き出して出発の準備をしていたはずなのに…
「こんばんは。」…応答がない。深夜の出発の準備をしている登山者はいるが、山室の人の姿がない。
予想はしていたが皆寝入っているようだ。(ここは毎年深夜の出発時間でも山室の電気は点かない。)しばらくしても、だれの応対もないため仕方なく再び外へ。
ここから山頂までは1時間半程だ。祥を説得し再び登山を始めることに。

赤岩八号館〜山頂
またまた歩き始める。疲労はピークに達している。祥は半分寝ているし、かなりへばってるみたいだ。
洋平は軽い高山病だろうか。頭が痛く気分が悪いと言い出す。携帯酸素を吸わせる。
自分自身もかなりきつい。高山病の心配はないが、エネルギーがもう切れそうだ。
休憩の回数が多くなる。八号見晴館跡に到着。

ここから勾配が急激となる。ものすごくきつい。意識的に呼吸をしないとすぐ息が上がる。
風があり休憩中はすごく寒い。こんなにつらい富士登山は8回目にして初めてのことだ。
もう意地と根性とプライド(?)だけで足を進めていた。

山頂を拝むことができる位置だがなかなか到着しない。そうこうするうちに東の空が赤くなり始める。
そしてやっとの事で山頂の鳥居が間近に迫った。「やっと着いた…。」これが素直な感想だ。
3人一緒に鳥居をくぐりゴ〜ル!お疲れさまより着けて良かったと思った。
祥もよく頑張った!偉いぞ!午前4時を少し過ぎていた。

ご来光
東の空が真っ赤となり次第に明るくなって行く。ご来光を見るのには山梨側に回った方がいいのだが、
もう体力の限界に達していた。今年はここで見ることにした。

しかしもうご来光間近というときに突然もやってきてしまった。「なんて言うことだ。」
とうにご来光の時間は過ぎているのだが、陽は見ることができなかった。残念!
回りからも「あ〜あだめだ…」と。自分たちもあきらめて休息のため山梨側へ回ることにし歩き出す。
途中で隙間から陽を見ることができた。良かった。こういうのもまたいいものだ。

山梨側の山室・休憩所”東京屋”に入る。中は登山者で結構混み合っている。祥はグロッキー状態。もう寝ている。
毎年思うことだが、
ここのアルバイトの態度は腹に据えかねる。
言葉遣いがなってない。(こういうところではしょうがないが)子供などにはもっと別の言葉の使い方が有っていいはず。

私がうどんを注文。祥は言葉もでない。アルバイトが「注文は?…何?…聞こえないよー!」
などと眉をつり上げている。祥は疲れ果てていて言葉が出ない状態なのに・…
私が「今疲れてるんだから、後で注文するから!」と少し怒鳴り声。「ふざけんなよこの野郎!」と思うも声に出さず。
今到着したばかりの人間に向かって、注文をせかすような言い方は本当にムカムカする。

そんなんだったら外に”無料休憩所”なる看板など出して置くな!とっととはずせ。
もう二度と”東京屋”は使わないことに決めた。

頭に来たのですぐに東京屋を出る。
大きな火口をバックに記念撮影。二人とも初めての富士の火口に驚いている様子。

下山へ
午前6時半。下山のために再び静岡側へ。今回お鉢巡りはへばっているし、もやってもいるため中止とした。
富士山測候所跡の前、剣ヶ峰の碑の前が3,776m地点であるが、今回はあきらめることにした。また来ればいいし。
途中富士山頂NTTで祥がお母さんに電話。お母さんもかなり喜んでいる様子。良かった。

御殿場口を午前7時に下りはじめる。登り時の急坂の砂礫道も、下りの時はかなり楽だ。
スイスイと下ってゆける。登山時に来たルートをそのまま下山した。

途中から富士宮口に入る。しかしここで難関が待ち受けていた。
富士宮ルートは岩場などが多く、下山時は結構ハードだ。何しろ足に来る。膝への衝撃も大きい。
登りの時足場となってくれた岩が、下りでは難敵となる。下りは砂礫道の方がザアザアと下れて楽だし、足への負担も軽い。

富士宮口登山道は五合目の標高が2,400mと高く初心者向け…とガイドブックなどには書かれているが、
下山時に関しては初心者向けではない。下山専用道がなく、登山者との行き違いがある上、溶岩流や岩場がきつい。
下山に関しては吉田口の砂礫道や、須走口の砂走りの方がずいぶんと楽なように思う。
ただし吉田口(河口湖口)は最後の五合目までのだらだらとした登りはきつい。
須走口は最後の森林帯がきついように思う。

富士宮口五合目に下山する場合、御殿場口を大砂走りの走り六号まで下り、宝永山経由で富士宮五合目に出るという手もある。
御殿場口は人も極端に少ないし、砂礫道の下山の方が楽です。
しかし宝永山ルートは少し分かりずらいため、もやっていたりしたときは避けた方がいい。
晴れていればこのルートで下るのもいいと思う。宝永山火口も間近で見られるし。富士宮口下山道の混雑を避けられます。

午前10時半。今年も無事に五合目に到着。
今年の富士登山は本当にきつかった。やはり寝ないで夜間慣行で登るもんじゃない。
毎年下山時は「次回はもうやめよう。」などと思ってしまうのだが、今年は特に強くそう思ってしまった。

しかしこの登山記を書いている今、もう又登りたくてうずうずしている。
やっぱりあのすばらしい景色と、苦しんで登頂を果たしたときの達成感や征服感。
これらが再び登山に駆り立てるんでしょうか…
次回は今年度中。8月下旬に須走口からを予定している。

温泉
帰りの温泉は恒例の
”紅富士の湯”だ。
山中湖から国道138号を河口湖方面へ行ったところ。左に看板があり左折してすぐ。
内湯、二つの露天風呂のどこからでも正面に富士山を間近に拝めます。
今回は見れなかったけど…。ここ数日富士山周辺の天候が良くないみたいだ。
入浴中、雨が又降り出していた。

尚、紅富士の湯は入浴料¥700。入浴後は休憩施設も有るし、食事もできます。
オススメデ〜ス。

 

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